私がこれまでに役員やマネージャーとして入った企業では、社長の悩みとして「うちは離職率が高い、なんとかしてほしい」と要求されることは少なくなかったです。
いま転職支援企業が頑張っていることもあるのですが・・離職する人たちが、一昔前より増加している傾向にあることは時代の流れとして捉えらてもその原因については、皆さんの役職として理解して置く必要がありますね。なぜなら、皆さん自身の「マネジメント業務」をより良いものにできるきっかけがそこにあるからです。
まず「離職する」ことは、何かしら会社への不平不満があるから、なのですが・・そうここで「会社」と表現しましたが、皆さんも『会社に不満があるから仕方ない』と思われているだろうなぁと思うからです。しかし、そこにマネジメント職としての落とし穴が存在しています。
ここは、「会社事」にせず「自分事」として捉えてみてください。別に会社に成り代わり離職率を下げることに責任をもちなさい、と言っている訳ではありません。あなたが自分事として部下たちの気持ちを理解することで、あなたのチームは必ずあなたを中心にした仕事のできるメンバーが増えてくるでしょう。
さて、まずは・・社員たちの不平不満は社長(経営陣含め)に集中しています。その概要を押さえておきましょう。離職する人たちが抱く会社(=概ね経営者)への不満は、会社への不満の一部ではありますが、非常に大きな要因となることがあります。具体的にどのような不満があるのか、いくつかの例を挙げながらご説明します。
※ここでは、対策については示しません、まずは原因を腹に落としてください※
1. リーダーシップの欠如
ビジョンが不明確:
会社の将来像や目標が明確に示されていない、または従業員に共有されていない
決断力がない:
重要な決断を遅らせる、または決断を回避する傾向がある。
変化への対応が遅い:
時代や市場の変化に柔軟に対応できず、会社が停滞しているように感じる。
従業員を信頼していない:
従業員の意見を聞かず、独断で物事を決める。
2. コミュニケーション不足
従業員とのコミュニケーションが不足:
定期的な面談や意見交換の機会が少ない、または形式的なものにとどまっている。
透明性の欠如:
会社の経営状況や将来計画について、従業員に十分な情報が共有されていない。
フィードバックが不足:
従業員の仕事に対する評価や改善点についてのフィードバックが不足している。
3. 人材育成への関心の薄さ
従業員の成長を支援しない:
研修や教育の機会が不足している、
または個々のキャリア開発を支援する仕組みがない。
ポテンシャルを評価しない:
従業員の能力や可能性を十分に評価せず、適材適所に配置されていない。
4. 公平性の欠如
人事評価が不公平:
実績や貢献度が評価されず、個人的な感情や関係性によって評価が左右される。
報酬体系が不公平:
同じ仕事をしているのに、人によって給与や待遇に大きな差がある。
5. モラルハラスメント
パワハラ:
上司から理不尽な叱責や暴言、暴力を受けている。
セクハラ:
性的な言動や行為によって、働きづらい環境に置かれている。
6. 会社の方針や価値観への共感の欠如
会社の理念やビジョンに共感できない:
会社の目指す方向性や価値観に共感できず、自分の価値観との間にギャップを感じている。
社会貢献や環境問題に対する取り組みが不十分:
会社の社会的責任を果たしていないと感じている。
これらの不満は、単独で現れることもあれば、複合的に現れることもあります。従業員が離職を決意する背景には、このような社長への不満が深く関わっている場合が多いです。
上記に示しましたが、離職理由は複合的です。(「複合的」ということは、何もここで示している離職だけではありません。すべての事象は複合的と考えるべきです。)離職の理由は、単一ではなく、複数の要因が複雑に絡み合っていることが一般的です。以下に、よくある組み合わせを示します。
労働条件 | 人間関係 | キャリア | その他
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長時間労働、|上司との不仲、|キャリアアップの |会社の将来性へ
低賃金 |同僚との摩擦 |見込みなし |の不安、健康問題
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残業が多い、|ハラスメント、|スキルアップの |ライフイベントの変化、
休日出勤 |孤立感 |機会が少ない |より良い条件の求人
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労働環境が |組織文化に |専門性を |転職活動の成功
悪い |合わない |活かせない
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労働条件と人間関係:
長時間労働や低賃金といった労働条件の悪さと、上司や同僚との人間関係の悪化が同時に存在する場合、従業員は大きなストレスを感じ、離職に繋がりやすいです。
労働条件とキャリア:
キャリアアップの見込みがない、スキルアップの機会が少ないといったキャリアに関する不満と、長時間労働や低賃金といった労働条件の悪さが重なることで、従業員はモチベーションを失い、離職を決意する可能性が高まります。
人間関係とキャリア:
上司との不仲や同僚との摩擦といった人間関係の悪化と、キャリアアップの見込みがないといったキャリアに関する不満が重なることで、従業員は職場での居場所を見出せず、離職を考えるようになります。
その他:
会社の将来性への不安、健康問題、ライフイベントの変化、より良い条件の求人といった、個人の状況や価値観に大きく左右される要因が、他の要因と組み合わさることで、離職を加速させることがあります。
いかがでしょうか?あなた自身も同様に思われていることも多々あるのではないですか?先に書きましたが「会社事にせず自分事で捉えてください」とお話ししましたのは、あなたが部下たちと同様に思うことは良いのですが、同様なレベルでこのことを捉えていると、あなたの望むマネジメント業務になってゆきません。原因は原因として理解し、あなたのマネジメントを考えるヒントとして活用してみてください。
あなたが思考する際に、以下も参考にしてみてください。
・特定の組み合わせに関する深堀り
・業界別、企業規模別の離職傾向
・離職防止策の実施事例
・従業員エンゲージメント向上のための施策
以上です。